地元熊本県の栗は、黒木さんが幼少期から食べている慣れ親しんだ味と香り。「ワイルド」で「栗の香りが強い」そうです。さらに今回は熊本の山江栗も使用。実が大きくしっかりしていて食べ応えがある栗です。そして、和栗だけではなく洋栗をブレンドするのも黒木さんのこだわりです。和栗のみだと和菓子のような味わいになるため、あえて洋栗を使って洋菓子らしさを実現。両方の栗の加工方法の違いから甘さや香りの特徴を捉えてバランス良くブレンドする、まさに職人技です。
そんな栗を使ったペーストは栗の加工から手作り。「手仕事を大事にしたい」と黒木さん。季節のものなのでしっかりと加工したいという想い、そして若いスタッフにも栗の加工を継承していきたいという想いからこだわっているそう。丁寧な手仕事がおいしさの秘訣です。

黒木さんのパティシエへの道は「料理が好き」というきっかけから。最初の1年目に、仕事にプライドを持ってお客様目線で仕事をしている先輩の姿から「プロ意識」を学んだそう。以降はお菓子の「科学の部分」を考える楽しさを感じながらのめり込んでいったと語ります。「ずっと食材を触っていると毎日発見があり、その発見が楽しい」と話す黒木さんの表情はとてもキラキラしていました。
また黒木さんは早い時期からコンクールで日本一になりたいと打ち込んでいたこともあり、そこで出会ったトップパティシエたちとも今でも親交があることも黒木さんの財産となっています。
若い子の成長や活躍も楽しく、「楽しいことばかり」と話す黒木さん。仕事を楽しみながら新しいことをどんどん切り拓いてきた黒木さんだからこそ、多くの方から愛されるお菓子や様々な人とのつながりが生み出されているのだと感じます。